ある代理店の担当者Tくん,ときどき顔を見せるのだが,なぜか後半「ととさん,ちょっと聞いてもらっていいですか?」と人生相談がはじまる.そのほとんどは,同棲している彼女とのことだ.
先日もやって来て,「ととさん,ちょっといいですか?」と始まった.
どうやらTくんの彼女,大雑把で面倒くさがりやの掃除嫌いな女の子のようで,もともと几帳面なTくんは,散らかった部屋で携帯ゲームに熱中する彼女に対してかなり不満が溜まっている様子.仕事をしてて時間がないのはわかるし,疲れているのもわかるけど,携帯ゲームの前にやることがあるでしょう?ってことだ.
「3年一緒に暮らしてその都度彼女には言ってきたけど,全然改善されない現状では,今後も改善は期待できないですよね・・・
」と言うので,「彼女の実家はどう?行ってみたことある?」と聞いてみた.
「あります.喘息になるかと思った
」・・・との答え.
「ああそう,そういうことなら今後の改善も望み薄と言わざるを得ないね.」
「ですよね・・・
」
「でもね,そういうおかあさんや彼女って,おおらかで小さいことは気にしなくて,明るく開放的で人に垣根を作らない人なんじゃない?そういうタイプだからこそ,あなたも惹かれたんじゃない?自分に似た几帳面で神経質なタイプには,惹かれないかもしれないね.」
「そういう面は,あるかもしれません.」
Tくんは,例えば,カーテンが紐で留められていない状態や,トイレットペーパーがちゃんとホルダーに入っていない状態や,ワックスの蓋が開けっ放しの状態がとてもいやだと言う.
わかるけど・・・そういうことは,気がついたほうがやればいいことでもあるよね.(と,Tくんにも言った)
育ってきた家庭で,許される乱雑さの限界が違う.それは,一緒に住むには大問題というほどでもないが,ちょっとした心の隙間を生み出すものでもあるだろう.その隙間が,ときには男の浮気の口実として使われることにもなりかねない.
一緒に住む間に,二人の限界ラインが近寄っていき,新しい乱雑さの限界が生まれるのが理想だが,Tくんたちの場合はあまりにも離れて過ぎているのか?
「今日は彼女は休みなんです.昨日このことでケンカしたばかりだから,今日家に帰るのがちょっと怖いです.もし,昨日みたいに散らかりっぱなしだったら・・・・.もう一緒にはいられないかもしれません.」
そう言っていたTくんから,今朝電話があった.
「ととさん.昨日帰ったら,部屋がぴっかぴかだったんです
」
「良かったね~.綺麗な部屋は気持ちいいねって,褒めてあげてね」
「はい!ありがとうございました.
」
今後,彼らがどうなるのかわからないけど,誰だって初めから完璧なわけじゃなく,日々の暮らしや出会いの中で,小さな気付きや体験を繰り返しながら少しずつ変わっていく.
どうか彼女に新しい気付きが生まれますように.そして,乱雑さの限界を二人ですり合わせていくことができますように.
少子高齢化が進む中,若いカップルのハッピーを祈らずにはいられない.
そして,akkoをなんとかせねば.
あいつの乱雑さの限界は,二番底どころか,もはや三番底かもしれない・・・
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