半身浴読書~197~
『消された一家 北九州・連続監禁殺人事件』 / 豊田正義、読了。
先日読んだ『殺し合う家族』(半身浴読書~194~)のドキュメンタリー版。こちらのほうが、内容がグロい。小説は事実を超えられないのか。
犯人の松永は、10代の頃から悪の天才(陳腐な表現だが)で、普通なら緒方純子のような、真面目でどちらかといえば大人しい女性がかかわるような男じゃない。なのに、引っかかってしまうのだ。
尼崎の事件もそうだが、分別ある大人を含めた一家をまるごと消してしまうなんて、本当に信じられない。初めてニュースをみたときもそう思ったし、本を読んでもなかなか理解しがたいのだ。
被害者たちは、常に監視されていたわけじゃなく、親戚にも会っていたし話もできたはず。松永のところに人質として子供がいたとしても、警察や弁護士や、そういう赤の他人の第三者を介入させて取り返しにいけば、なんとかなったんじゃないかと強く思う。
しかし、筆者は、DV被害者の心理状態はそんなことができる状態ではないと言う。
緒方純子は、松永から日常的に暴力を加えられ、松永に従うことだけが目的になっていたのだと言う。
自分にはそのような経験がないため、なかなか理解しがたいのだが、殺された被害者たちは世間的には立派な社会人であるにもかかわらず、ずるずると松永の術中にはまっていったところをみると、もしかしたら自分も同じような状況に置かれたら、そうなってしまうのかな?と恐ろしくなった。
もし、最後まで生き残っていた17歳の少女が脱出に成功していなければ、この事件は発覚すらしなかったかもしれないと思うと、今、この国でそういう事件が起きているかもしれないし、もしくは完全に消されてしまって発覚すらしていない事件があるのかもしれないと思えてくる。
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コメント
こんなことは自慢することではないのですが…昔の悪仲間がこんなことを言ってました。。。
『人間を力で従わせるのは2種類の方法が。。1つは本人を痛めつけること。もう1つは、そいつの大切なものをとことん痛めつけること。。』
決して許されることではない『暴力による支配』けれど、意外と『ありふれた日常』の陰に潜んでいることも事実です。
最近の事件の残虐性は度を超すものばかり。イジメ・体罰の問題なども昔からあるものが表に出始めただけなのか、エスカレートして目につくようになったのか…。
10年後、さらに度を超えた事件が起こらないためにもボクら『大人の責任』は重いと思いますね。
投稿: はにぃ♡ | 2013.03.19 14:50
はにぃさん
コメント、ありがとうございます。
暴力で人を支配するなんて、わたしには考えられないし、されるのもするのもいやだけど、実際に殴ったりはしなくても言葉や態度で子供を支配してるのかも?と、思うことがあります。
特に、おねえとの関係では。。。
しかし、この事件の犯人は、ほんとにとんでもない奴です。遺伝子や脳の解析を行って欲しいくらい。普通にこういう人間が生まれてくるとすると、ほんとに怖いです。
投稿: とと(>はにぃさん) | 2013.03.22 23:38