« 消費税率アップに関する報道について | トップページ | もうお弁当は作らない »

2012.07.03

半身浴読書~181~

51klscofdel__bo2204203200_pisitbsti『武田三代』 / 新田次郎、読了。

武田信虎、信玄、勝頼の3世代にわたる武田家の家臣たちの7つの話。

7つの話を通じて、当時の武士たちの文字通り命がけの生き様を感じる。義を通して死を選ぶ場合もあるし、生きて恥をさらすより死を選ぶ場合もある。領民からの年貢で生きている彼らは、いざとなったらいつでも死を選ぶ。それが自ら田を耕さずに生きている彼らの務めでもある。

■信虎の最期
信玄の父親である信虎の死に様が書かれている。狂人のようになってしまった信虎が家臣に向けて刀を向け、切りつけられた家臣が、それを防ぐために偶然信虎を切りつけることになってしまった。大勢の人間が見ている前で行われたことで、勝頼はすぐにその家臣に『責任を感じることはない』と早馬を送ったが、家臣は自害してしまう。信虎をもてあましていた勝頼は、救われた結果だ。たとえ狂人であろうとも、主君に刃物を向ける限りは命をかける武士に、命がけとはこういうことだ、と感じた。

■異説 晴信初陣記
晴信(信玄)の初陣には、影で支える者があったという話。そしてそのことに薄々気がついていながら、どこの誰かがわからず、戦果にもあまり喜べなかった晴信だが、自分を支えてくれた仕掛けを知ったとき、心から笑い、そして感謝する。それに、晴信の器の大きさや人としてのすばらしさを思った。

■消えた伊勢物語
すでに十分に勢力を拡大し、周囲に恐れられる武将となっていた信玄が、今川氏から譲り受けた『伊勢物語』を紛失する。その真相を暴きながら、家臣の忠誠心をも見極めている信玄の話。この時代、親子であっても武士と武士なのだと思った。

■まぼろしの軍師
山本勘助の話。いつだったか大河ドラマで山本勘助が描かれていたと思うが、それとはまったく違い、単なるほら吹きだったという話だ。山本勘助が死ぬ間際に故郷に捨てた息子を訪ね、他人に成りすまして自分の軍師としての活躍を話すことで、息子はその話の真偽を確かめるべく出立する。結果は、上記のようにほら吹きだったわけだが、書物してまとめることで軍記となり、その後の戦法の教則本となることで、のちの軍師としての山本勘助が作られた。

■孤高の武人
勝頼の代になって武田家には、衰退の兆しが現れる。途中の城を任された家臣の最期の話。生きて敵の手に落ちることをもっとも恐れる武士は、自ら死を選ぶのである。

■火術師
武田家滅亡のきっかけをつくった裏切り。それは、うその烽火だった。武士は命をかけて主君に仕え、たとえ落ち目になろうとも死をともにするしかないが、その下の者たちは自らの生き残りをかけ、強いほうに従うのは仕方のないことだ。

■武田金山秘史
武田家を金銭面で支えていた金山が、滅んでいくまでの話。埋蔵金をめぐってだまし、だまされ、多くの人が殺される。また、勝頼を裏切ることになる穴山梅雪の心の葛藤についても書かれている。

|

« 消費税率アップに関する報道について | トップページ | もうお弁当は作らない »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

私、歴史ものにちょっと凝っているのですが、BSプレミアムの番組で「歴史館」というのがあります。
先回は保科正之がテーマでした。4代将軍の家綱の右腕として、武将政治から文治政治に切り替えていった功労者らしいのですが、みんなに知られていない人だと。その保科正之を育てたのが武田信玄の娘(名前失念)で、彼女の毅然とした態度が、こういう正之を育てたのだ、という話題も出ました。猛々しい時代であっても、「彼女がいたからこそ」なんていう女性が武家に存在していたことを知るとワクワク嬉しくなってしまいます。正之は2代将軍秀忠の落胤で、恐妻のお江の機嫌を損なわないように、信州の高遠に貰われていったのです。その後、お江の側から、連れ戻せとの指示があっても、育てていた信玄の娘は、頑として受入れず正之を守った、とか。もちろん連れ戻されると、命も危なかった時代です。
ととさんの本とは違う話でゴメン。武田家では、そんな芯のある女性が育っていたのだと、ひとりで感心していたものですから。
知らないことが山ほどあることを知るばかりです。ということは、これから知る喜びも山ほどあるということ。ものごと発想の転換が必要(苦笑)。ボチボチ読んだり見たりしています。

投稿: 街中の案山子 | 2012.07.05 07:11

街中の案山子さん

わたしも歴史モノ、好きです。歴史を知らないくせにね(笑)。

でも知らないからこそ、そうして読んだ本の一部が、過去に見たドラマとちょっとでも重なってたりすると、妙にうれしい。これが、知る喜びなのかしら?うふふhappy01

投稿: とと(>街中の案山子さん) | 2012.07.05 23:48

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/65923/55110540

この記事へのトラックバック一覧です: 半身浴読書~181~:

« 消費税率アップに関する報道について | トップページ | もうお弁当は作らない »