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2012.02.25

半身浴読書~171~

41e0zse7ivl__sl500_aa300_ 『サヴァイブ』 / 近藤史恵、読了。

『サクリファイス』(参照エントリー:半身浴読書~162~)、『エデン』(参照エントリー:半身浴読書~163~)と読んだので、当然読む。

今回は、時期の異なるショートストーリー6編。それぞれ前作に登場した人物たちのストーリーだ。

  1. 老ビブネンの腹の中
  2. スピードの果て
  3. プロトンの中の孤独
  4. レミング
  5. ゴールよりももっと遠く
  6. トウラーダ

【老ビブネンの腹の中】は、白石のストーリー。ドラッグの服用で死んだ選手のことを思い、生き延びるために自転車に乗る自分を意識する。そう思いながら出場した過酷なレース。こんな文章が心に残る。

(前略)

 それも人生と同じだ。晴れの日には晴れの日の苦痛があり、雨には雨の苦しみがある。
 こんなレースで勝ちを狙えるミッコの身体能力は羨ましいが、彼には彼の苦悩があるはずだ。
 ぼくは自然にフェルナンデスに話しかけていた。
 ―――なあ、だからあんたは、ドラッグなんかに手を出しちゃいけなかったんだ。
 この巨人の腹の中で生き延びるためには、どんなに苦しくても越えてはならない一線がある。
 ―――そうしたら、あんたは生き延びられたんだ。
 生きててさえいれば希望は潰えることはない。たとえ、それが頼りなく弱い光であっても。

(後略)

【スピードの果て】は、伊庭のストーリー。オッジでエースになった伊庭が、目の当たりにした事故のためにスピードへの恐怖を感じてしまうようになる。スプリンターの伊庭には致命傷だ。海外での試合、そこで伊庭は・・・。

【プロトンの中の孤独】は、サクリファイスでオッジのエースだった石尾がまだ新人のときのストーリー。女だらけの職場での足の引っ張り合いは、さもありなんだが、男たちにもそういうことがあるんだと新鮮な驚きだった。石尾は、サクリファイスでもカッコよかったが、ここでもなかなかカッコいい。

【レミング】も石尾が若いころの話。ただし、このときにはチームのエースになっている。ここでも石尾はチームメートに意地悪をされるが、それに対して石尾は、相手を助けるという対応をする。やはりこうでなくっちゃいけない。意地悪に意地悪で対応すれば、それは際限がない。終わりは来ないのだ。意地悪には、愛で。これ基本です。

【ゴールよりももっと遠く】は、伊庭と白石が新人としてオッジに入ってきたころのストーリーだ。レースの主催者から八百長を持ちかけられた石尾がそれを断ったために、オッジの提出書類に不備があるとされ、レースに出れなくなる。しかし石尾は前日に同じコースを走る。それは無言の抗議なのだ。

【トウラーダ】は、白石がミッコとともに移籍したチームでの話。『エデン』の後の話だ。そして、ここでもドラッグの問題が取り上げられている。スポーツとドラッグの問題は、選手にとって大きな問題なのだと感じた。

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