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2012.01.30

半身浴読書~168~

51aeuuw8fl__sx230_ 『あぽやん』 / 新野剛志、読了。

旅行社の企画部門から、空港のカウンターに異動になった遠藤が主人公。

空港カウンターは、この会社ではどっちかというと左遷の色合いが濃く、一般的に30代の若い社員が勤務するところではないという設定だ。

異動になった遠藤も、当然、すぐに元の部署への異動を望んでいる。

このあたり、昨年の自分の異動とも重なり、気持ちがとてもよくわかった。

だが遠藤は、案外前向きだ。先輩の今泉にイラッとすることもあるが、お客様を笑顔で出発させるという本来の業務に対し真摯に取り組み、成長していく。

その姿勢は、たいへん共感できるし自分への戒めともなった。どんなところでも、仕事のできる人はできるし、頑張った分は成長するのだと改めて感じた。

ところで遠藤が好意を寄せる古賀という女性社員とデートしたときの会話がなかなか興味深い。

(前略)

 古賀は眉根を寄せ、威圧するような目を向け、「そう、女は欲張りです」と低めの声で言った。
「古賀さんが、色々習い事をしているのもそんなことと関係あるんですか」
「そこに触れますか」
 今度は傷ついた顔。酒が入ると彼女の表情は七変化。ついていくのに慣れれば、とても愉快だ。それにチャーミング。
「確かに根は一緒かもしれない。私は働く女性特有の病、自分探し病にかかってるんです
「女性特有なの?国民病かと思ってた」
お稽古系自分探しは、圧倒的に女性が多いはずです。留学系もですけど」
 言われて納得。僕の周囲でお稽古ごとに熱心なやつというのはあまり聞かない。
「どうして女性は自分探しなんだろう。訊いてもいいですか」
「やめておいたほうがいいですよ。私、大学のとき社会学部でジェンダー論を専攻していたんで、こういう話、得意なんですよ。長くなりますから」
 かまわないからどうぞと促すと、彼女は話し始めた。
「私、性差を考えるとき、生物としての男女の違いまでよく遡るんです。ちっとも社会学的ではないですけど」
 古賀は舌に勢いをつけようというのか、グラスにつっと口をつけた。
「雄の役割は外で働いて家族に食べ物を与えることですよね。雌は子供を産んで育てること。それは社会化された人間のなかにも本能として残っているんだと思います。だから男性は仕事をしてそこにやりがいを感じれは本能的に安心できる。ところが働く女性は、たとえ仕事にやりがいを見いだして周りから評価されても、それだけでは満足できない。どこか満たされないのは本来の役割と違うと本能が感じているからなんです。それで、なんか違うと自分探しをするんじゃないかと思うんです」
「となると、子供を産めば、自分探し病は治るんですね」
 お手伝いします、という冗談が浮かんだが、理性がひょっこり顔をだし、口を衝くのを食い止めてくれた。
 ふーと息をついた古賀は大きくかぶりを振った。「そこが私の説の弱いところなんです。早くに子供を産んだ友達の話を聞いていると、どうも満足していないようなんです。このまま子育てだけで終わっていいのかな、って考えていたりする。本能説では説明しきれないんです」

(後略)  ※太字はわたしによるものです。

なんでなんでしょうね~。男も女も同じように『夢を持て』と育てられたはずなのに、もっと違う何かを求めて自分探しをするのは、確かに女性のほうが多いように思いますね。

やはり女性の方が、現状、夢をかなえている人が少ないからなのか。確かに既存の企業では、昇進機会も少ないし。

古賀さんも言ってるように、これって本能とは別の話なんじゃないかと思いますね。

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コメント

女子にもいろいろあるだろうけれど、子供産んだからって、自分探しが片付くものじゃないと思う。多分、古賀さんタイプは。でも、そんなタイプの彼女だからチャーミングなのだろうけれど。

投稿: 街中の案山子 | 2012.02.01 07:59

街中の案山子さん

でも、なんで自分探し病は女性に多いんでしょうね~。そこがとても不思議です。
やっぱり男は、仕事で自分の価値を図っているからなのかなぁ?

投稿: とと(>街中の案山子さん) | 2012.02.01 23:44

「女性は…」という一般論は知らないけれど、私は、長らく、そんなタイプの急先鋒やってきました。苦笑

投稿: 街中の案山子 | 2012.02.02 07:36

街中の案山子さん

あはは、そうですか(*^_^*)

わたしは・・・
う~ん・・・探してないですね。
いつも行き当たりばったりです(汗)

投稿: とと(>街中の案山子さん) | 2012.02.02 21:51

遠い昔、1歳と3歳の子供を抱えながら、ご近所の女性との立ち話で「ワタシ30(歳)までに、目標を定めなくっちゃ」なんていったら、彼女10歳年上だったらしく、「えっ!まだ30前なの。いいね~」と微笑み返されたことあり。ウフフそんなタイプです。子供を夫に託して習い事していたもの。結果、なにもものにならず、・・・ですが。トホホ
あっ、子供がもう一人増えて3人になったときに、レベルダウンして確実なところの資格試験なんかやってた。
またまた、還暦バージョンの企画暖めはじめましたー(苦笑)。性分なのです。人生終わりになるまでこのタイプが似合いなのでしょう。

投稿: 街中の案山子 | 2012.02.03 06:49

街中の案山子さん

すごいですね~。
わたしはダメだなぁ。根本が『自分に甘い』んでしょうね(苦笑)。

今の人生の目標は、『ぽっくり死ぬ』ことです!

投稿: とと(>街中の案山子さん) | 2012.02.03 22:48

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