« また始まったよ・・・(;一_一) | トップページ | インフルエンザA型から戻ってみたら »

2011.03.13

半身浴読書~149~

『撫で肩の男~ロシアの殺人鬼を追って』 / リチャード・ラウリー著、染田屋茂訳、読了。

これは、1990年11月20日に逮捕されたアンドレイ・ロマノヴィッチ・チカチロという、ロシアの大量殺人犯についてのノンフィクションだ。正確には、チカチロとそれを追うコストエフ取調官のノンフィクションと言った方がいい。

この事件を伝えるニュースは、わたしの頭の片隅に残っていて、それはこんな部分だった。

被害者に残されていた精液の血液型と、犯人の血液型が違っていたために容疑者として名前が挙がっていたにもかかわらず長期間逮捕されなかった。しかし、近年の研究で、まれに血液と精液の血液型が異なる場合があるということがわかり、今回、犯人逮捕となった。

『へぇ~、そんなこともあるのか』と、当時はチラと思っただけたっだが、今回、この本を読んで初めて、『あのときのニュースは、この事件のことだったのか』とわかった。

さて、このノンフィクションは、犯人の生い立ちから猟奇的犯行の意味を探るというようなありきたりのストーリーではなく、コストエフという取調官が、腐敗したロシアの民警を糺しながら、粘り強く捜査し、犯人と対峙して自白を得るまでの記録だ。

驚いたのは、ロシアでの冤罪の多さだ。知的障害のある若者を連れて来ては、自白を強要して犯人にでっちあげたり、前科者を犯人として処刑したり、全くひどいものだ。

チカチロが逮捕され犯行を自白した後も、自分たちの失敗を認めたくないために民警がでっちあげた犯人をいつまでも犯人だと主張し、結局は処刑してしまうなど、言語道断だ。

ただ、そんな中でもコストエフ取調官のように、冤罪で捕まった人を解放しようと努力する警察官はいて、どんなにくさった組織でも心ある人はいるものだと救われた気持ちにもなった。

また、事件とは直接の関係はないのだが、ロシアという多民族国家で、少数民族が受けてきた扱いなどの一端を知ることができた。そして、ロシアのように体制の劇的な変化があったり、権力の一極集中がある場合は、日本では考えられないようなことがあるのだと感じた。

この事件を元に書かれたノンフィクションは、他に2冊あるらしい。読んでみようかな?

|

« また始まったよ・・・(;一_一) | トップページ | インフルエンザA型から戻ってみたら »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

「事件とは直接の関係はないのだが」に倣って、「この本には直接関係はないのですが」でコメント。
先日テレビの討論番組で、ロシアはマフィアが暗躍しているという話題になり、以前のKGBなどはどうなっているのでしょうね~。プーチン首相はKGB出身だけど…、という話題になりました。すると、ロシア通の人が、KGBはどちらかというと、マフイアの大物的存在ですよ、と。
!!!なんか、とてつもない国そうですね。

投稿: 街中の案山子 | 2011.03.15 11:27

街中の案山子さん

そうですね~。
私の友達のおじいさんは、シベリアに抑留されていたらしいのですが、おばあさんが口癖のように「ロシア人はうそつきだ。絶対に信用してはいけない」と言ってたらしいです。

巨大で不気味な国ですよね。

投稿: とと(>街中の案山子さん) | 2011.03.15 22:46

またして横道逸れのコメントなのだけど。
ロシアは、90%超がそもそも農奴で、一部貴族に支配されてきた。で、食うや食わずの人生だから、生きるためのウソも充満していたのでしょうね。
衣食足りて礼節を知るっていうから。あの国は、ツアーに替わって、共産党独裁になりの流れで、89年のペレストロイカはあったけれど、まだ一度も民主国家になっていない、とか。
うーーん、です。

投稿: 街中の案山子 | 2011.03.16 12:43

街中の案山子さん

そっかぁ~。
民主主義って実は、世界中に浸透してるシステムじゃないってことですね。アラブ諸国もそうだと聞きますし。

ローマ帝国とロシアの違いって、どこで生まれたのでしょうね。

投稿: とと(>街中の案山子さん) | 2011.03.16 22:00

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/65923/51108061

この記事へのトラックバック一覧です: 半身浴読書~149~:

« また始まったよ・・・(;一_一) | トップページ | インフルエンザA型から戻ってみたら »