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2010.08.31

半身浴読書~140~

51dcmh1ezml__sl500_aa300_ 『グロテスク』 / 桐野夏生、読了。

ハァ・・・┐(´-`)┌

こんなに読後感がよくない本も久しぶりだ。

面白くないっていうのじゃなく、そぉだなぁ~なんというのかなぁ・・・救いがないというか・・・。まさに、タイトル通り。人間のグロテスクなところを、イヤと言うほど見せられる感じ。

書き方もちょっとかわっていて、語り手の「わたし」が誰かに(もしかして読んでるわたしに?)話しているような書き方だ。

しかし、「わたし」の言うことは主観的で、決して真実とはいえない。それは、殺された二人の女性の日記やなんかでわかるのだが、その手記がまさにグロテスク。

なかでも、佐藤和恵の残した手記は、凄まじい。

この佐藤和恵は、昼間は大手ゼネコンの総合職OLとして働き、夜は娼婦として街に立つ。そして、殺される。わたしはすぐに東京電力に勤めてた女性が外国人男性に殺された事件を思い出した。巻末に、参考文献として『東電OL殺人事件』があげられていて、ああやっぱりな~と思った。

語り手の「わたし」は、美しすぎる妹ユリコ(怪物的な美しさと何度も表現されるが)の存在を強く意識して育つ。ひがみや嫉妬はもちろん、その美しさの前では、努力も意味がないという考えを持つ。一方、佐藤和恵は、努力によりなんでも手に入ると父親から刷り込まれて育つ。

どちらも正解で、どちらも不正解だ。持って生まれた能力と、生まれた後の努力と、少しの運。その少しの運を捕まえることができた人が、達成感を得られるのだと思う。

努力を重ねて大手ゼネコンの総合職として働く佐藤和恵が、職場での自分の冴えなさを、娼婦という別の顔を持つことでバランスを取ろうとする気持ち、わからなくもない。

わたしも、独身でバリバリ働く女性を見ると、なんか自分がすごくつまらない駄目な存在に思える瞬間があって、そんなときは『わたしには、子供が二人もいて、上の子はもう20歳になるのだ!』と思うことで、負けてる感を抑えようとしている自分に気がつく。

先日、ついそれが言葉に出てしまって、後輩の女性社員に「ととさんらしくないですよ。逃げたら駄目です!」とはっぱをかけられたわたしだ。

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コメント

桐野さんは大好きだから、当然この作品も読んだ。いえ、読んでいた。そうなんです。最後まで読むことができなかった。下巻の三分の一ぐらいで止まってしまいました。多分、もう読まないでしょうね。最初から気持ち悪さ満載のお話でしたからね。
最近は、やっぱり宮部さんのほのぼのしたのがいいです。

投稿: cova | 2010.09.02 15:36

covaemonさん

おお!そうですか。やはり。
気持ち悪さ満載という表現は、言い得て妙ですね。

今、わたしは「東電OL殺人事件」を読んでます。まだ、ほんのさわりのところなのですが。

投稿: とと(>covaemonさん) | 2010.09.05 22:24

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