半身浴読書~139~
『家族狩り』 / 天童荒太、読了。
何とタイムリーな。
幼児虐待だの、行方不明老人だの、家族に関するニュース満載のこの時期に、この本。
未読の方にとっては、ネタばれになるので詳細なストーリーは書かないが、ひと言で言えば、思春期になって親子関係がうまくいかなかくなった家族を、勝手な独善的考えで『助ける』と称して惨殺する話。
そのストーリーに散りばめられている多くの登場人物が、それぞれ自分の育ちの中に、親との関係で上手くいかなさを抱えている。その過去の自分の親との上手くいかなかった関係が、今の自分の親としての拙さに出ているのではないか、とも取れる書き方で、その点については、「そうなんだろうけどそれを言っちゃぁおしまいよ」と思ってしまう私だ。
作者は、この作品を書いたとき
元々は執筆当時もてはやされていた「家族にかえろう」への怒りを込めたアンチテーゼとして執筆したとのこと。家族の崩壊で生じた問題が多々あるのに、解決せずに「家族にかえろう」なんて言ったら、結局家族の弱いもの=子供に皺寄せがゆくのが明らかだから、という思いがあった。
(ウィキペディアから一部抜粋)
とのことだ。なるほど、と思う。
家族で解決できない問題を外部の力を借りて解決の手段を見つけようとする方が、悲惨な結果を招かなくて済むんじゃないかと、わたしも思う。
幼い二人の子を放置して死なせてしまった若い母親のケースなど、外部の助けがあればあんなことにはならなかった。
家族とは、決して血縁を意味しているのじゃなく、生活を共にしてお互いに心配しあう関係のことを指しているのではないだろうか。だから、血がつながっていなくたって、ちゃんと家族にはなれるし、反対に血がつながっていたってバラバラに生活して互いに関心を持てないのであれば、それはもう家族とは言えないんじゃないだろうか。
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コメント
お久しぶりです♪♪
物凄~い表紙ですね~(>_<)
早速、読書欲をそそられて本屋さんへ!!
加筆修正なしの新訂版になっていて、表紙も代わってました。
しかし、内容も勿論ですが、重い!! 非常に重い!!重量が・・・☆
560ページくらいでしたっけ?
通勤バックにほうり込めるシロモノではないと思い、
今回は断念(^_^;)
涼しい読書の秋になるのを待って、チャレンジしますぅ(*^o^*)
投稿: fufumi | 2010.08.15 21:39
fufumiさん
そうですね、確かに重いです・・・(^-^;
この作品は、確か文庫化されていないと思いますので、家読みでお願いします。
ただ、ちょっと展開が強引です。髙村薫を読み続けて、流れるようなストーリーに慣れていましたので、なんでもかんでも主人公の教師に結び付ける展開は、わたしとしてはちょっと疑問なんですけどね。
そうはいっても、わたし、寝る間を惜しんであっという間に読みました。面白かったです(o^-^o)
投稿: とと(>fufumiさん) | 2010.08.15 22:54