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2009.02.14

半身浴読書~114~

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新世界より(上)』 / 貴志祐介,読了.

今から1000年後の世界を生きる早季が,1000年後の人類に向けて記録を残す・・・そんな形式で書かれている小説.

早季が生きている世界とはどんな世界なのか・・・

それは,人間が呪力を使う世界だ.呪力を得てからの人間は,ずっと殺戮を繰り返す世界だった.その反省を踏まえ,さまざまな抑止機構や防御システムを構築して今に至る.

しかし,それで完全に防御できるものではなく,しだいにほころびが生まれ,そしてついに大きな殺戮へとつながっていく.

早季は,粘り強い心で生き残り新しい時代を作ろうとするところで話は終わるのだ.

現代より1000年後の世界の話を書きながら,現代への痛烈な皮肉が感じられた.結局,人間の言う優しさは,同類にのみ向けられるものでしかなく,生きとし生けるもの全てに向けられるものじゃない.異類へは,考えられないほど残忍になれるのだ

そして自分たちの社会を危険に晒す者は排除しさえすれば良いという考え方.これが結局は,最後の大きな殺戮へとつながっていく.

『危険に晒す者』と『危険に晒した者』と『危険に晒しそうな者』は全然違うのに,解釈はどんどん拡大され,排除される範囲はどんどん広がっていく.

排除することと,内包すること.線引きはとても難しい.どちらがより健全でベターだと感じるかは,人によって違う.だから,結果を見て言う他ないのかもしれない.

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