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2008.10.05

半身浴読書~103~

412ttcizcxl__sl500_aa240_ 『いつかパラソルの下で』 / 森絵都,読了.

面白かった.

厳格な父親に育てられた三人の兄弟が,父親の死をきっかけに父親の過去を捜すストーリー.

主人公はその3人のうちの真ん中の女性.厳格な父親に育てられた反動なのか,成人すると家を出て野放図に生きている.

主人公・野々だけでなく,その妹・花も,自分がどこかしら上手く生きられないのは,そういう父親に育てられたせいなのだと思ってきたけど,父のことを知るにつれて,それを言い訳にしてるんじゃないかと気づく.

それは,父がそうだったから.父は,自分の育ちをことさらに引きずり,言い訳の材料にしていたんじゃないかと思うわけなのだ.

愛しても,愛しても,私自身はこの世界から愛されていないような,そんな気が心のどこかでいつもしていた.受け入れても,受け入れても,私自身は受け入れられていない気がしていた.けれどもそれはわたしが父の娘であるせいではなく,ヤスの孫であるせいでもなく,(略)自分自身のせいですらなく,なべて生きるということは元来,そういうことなのかもしれない

この野々の言葉,ほんとにそうだよなぁ~と思う.

まずは,現在の立ち位置をそう認識することで,疎外感やら取り残され感やら被害妄想系の気持ちから,自分を救えるんじゃないかなぁと思った.

  

野々の恋愛の件もなかなか面白い.同棲相手の達郎もいいヤツで(わたし的には),紆余曲折あったにせよ,ハッピーな結末でほんとに安心した.

大事件でもなんでもない日常の出来事が,ここまで読ませるものになるのかと感心した.特に,イカイカ祭りの場面は,こっちまでなんだか楽しくて,いとこの愛とのやりとりも,さらっとしてるけど示唆に富んでて,ほんとに面白かった.

森絵都,好きになりそう.

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