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2006.12.25

半身浴読書~76~

026944020000 『出口のない海』 / 横山秀夫,読了.

これは第二次世界大戦の末期,回天という特攻兵器に乗り込むことになった青年の話.

私は,戦争の話は好きじゃない.読んでいると怖くなるから.この本もそう.とにかく怖かった

何が怖かったのか.

それは,人が集団ヒステリーみたいな状態になって,死ぬことがまるで目的かのようなそういう気持ちになっていくこと

身近な例で例えると,お年寄りをたくさん集めて,初めはただでいろんなものを配って,気が付いたら高価な布団も買っちゃってた!っていう催眠商法ってあるでしょ.アレみたいな感じがする.

あの戦争の終わり頃,きっとそんな感じだったんだと思う.

それは,ほんとに怖いことだ.

主人公の並木の弟は,国民学校の6年生.その弟が戦地に向かう兄に対して「立派に死んできてください」というのは,どう考えても異常だ.でも心が柔らかい子どもは,そういう教育に芯から染まる.

今,愛国教育について論議がある.個人の上に国家を置くことが戦前のそのような状態につながるのではないかと危惧する人もいれば,そんなことは今の時代もはやあり得ないという人もいる.

私は,危惧する人がいなくなったときに,もしくは危惧する人を封じ込めたり発言することをためらわせるような世の中になったときに,その心配は杞憂ではなくなるような気がしている

戦争の話は,怖くて,悲しくて,あまり好きではありません.

でも並木の揺れ動く感情が丁寧に書かれていて,当時の若者たちがどんな気持ちで死んでいったのか,死にたくないという感情をどんな風に折りたたんでいたのか,そんなことが伝わってきて怖くて悲しいだけじゃないものを感じました.

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