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2006.07.29

半身浴読書~54~

023884570000 『失はれる物語』 / 乙一,読了.

寂しい人の6つの物語です.

「Calling You」
「失はれる物語」
「傷」
「手を握る泥棒の物語」
「しあわせは子猫のかたち」
「マリアの指」

寂しい人というのは物語の主人公にはもってこいで,こんなにもたくさんのお話が生まれてくるのかと感心した.

着地を希望的にした作品が多い中で,「失はれる物語」はかなりつらい.全身が動かなくなって,わずかにうごく指一本でコミュニケーションをとる男の最後の思いやり.それはほんとに悲しい決意だ.その男の思いを妻はどのくらいわかっていたか.ちゃんとわかっていて,その思いやりを受け止めていたと思いたい私だ.

「しあわせは子猫のかたち」・・・このお話が一番好きだ.幽霊がコーヒーを出してくれたりカーテンを開けたり手紙を書いたりすることなんて絶対にありえないけど,あまりに主人公の寂しい彼が自然に受け入れてしまうので,読んでいるこちらも自然に受け入れてしまう.

その彼が放つ短い言葉は,すごく寂しくて悲しい台詞が多い.私は彼とは全然違うタイプなんだけど,なんかわかるんだよ,その言葉が.だからこっちも悲しくなっちゃう.

彼の寂しさは,ひとことで言うと孤独.人といることで感じる孤独だ.孤独を感じないために,孤立を選択しようとする彼の気持ち,共感はしないけど理解はできる.

「マリアの指」は,マリアを殺した犯人の動機がちょっと弱いんじゃないかと感じた.芳和さんと恭介が指を毎晩捜すあたりはなかなか面白かったんだけど.

「傷」は子どもの話.子どもの心の柔軟性をすごく感じることができる.

虐待事件があると,虐待されても親を慕う子の姿を見ることがよくある.そんなときに感じる気持ちを呼び起こされた.

そんなこんなでたくさんの寂しさが書かれていると思う本だった.

私の寂しさってなんだろう?

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