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2006.04.20

技術の進歩は人を幸せにするか。

私はそう思っているし、そうじゃなきゃ進歩とは言えないんじゃないかと思うのだけれど、もし、X軸に科学技術の進歩を、Y軸に人の幸せを置いたとき、実はそのグラフは正比例しないんじゃないかと思ったりする。

例えば,先日のエントリー(『えぇ~?!そりゃおめでたい』)のように羊水検査を受けるかどうかという選択肢を与えられた場合と、そんな技術はなくて、とにかく十月十日を無事に過ごすことに専念する場合の人の心の幸せ度は,実は大差ないんじゃないかと思うからだ.

高度な医療が開発されているこの頃,不妊治療もいろいろな技術がある。その技術があるがために,ほんとは夫婦ふたりで豊かな人生を送りたいと思っている人が,『なんでもっと高度な治療を試さないの?』などという周囲のプレッシャーを感じる場合だってあるだろう.

子どもが難病をもって生まれたとき,精一杯の治療をしてやりたいと思うのは親心だけど,誰もが募金活動をできるわけじゃなく,結局は消えゆく命を見守ることしかできない場合もある.そんなとき,高度で高価な治療を受けさせてやれなかった自分を許せないと思う場合もあるかもしれない.

けれど・・・・

助かる命がひとつでもあればいいのだ。生まれる命がひとつでもあればいいのだ。

きっとそういうことだ。

技術の進歩に伴って、人の心も強靭になっていかなきゃいけないんだ。多分ね。

    

そうは思っても、羊水検査による命の選別については、うまく落としどころが見当たらない。

「子どもは親を選んで生まれてくるのよ」と、よそゆきの顔の私は言うけれど、実際に自分が、または自分のごく近い人がその立場になったとき、掛け値なしの本心で言えるの?

選別する技術が与えられ、選別する側に立ったとき、きっぱり拒否できるの?

拒否できない自分がいて、でも選別したくない自分がいる。

技術の進歩は人の心を幸せにするのかと、ふと考えてしまう私だ。

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コメント

前回もコメントしたのですが、私も羊水検査をどうするか?と医師からもちかけられたときに「なんでこんなことを聞かれてしまったんだろう?」と恨みにすらおもったほどでした。私は前回コメントにかいたとおり、検査を受けないことを選びましたが、それでもそれでよかったのか?とか、後悔しないだろうか?と悩みました。検査をうけたら、また違う悩みがでてきたはずです。そして、「昔はこんな技術も検査もなかっただろうに。。。」と思ったので、すごくわかります。

第2子のときに、この検査のことを何もきかずにすんだのは、ある意味ラッキーでした。第1子のときに、あれだけ悩んで、受けないことを決断したのにもかかわらず、すっかりそんな検査の存在すら忘れて、第2子を産んで、このブログで、「そういえば、あの時悩んだんだった」と思い出したほどでしたから。だから、妹さんも、悩んだこともいつか忘れることができるといいなとおもいます。

皮肉な世の中。皮肉な技術の発展ですよね。本当に。

投稿: ちゃい | 2006.04.20 22:26

「技術の進歩は人を幸せにするか?」

一概に、「そうだ」といえないのかも知れない。だけど、そこを否定されると、技術屋さんとしては、ちょっとだけ悲しいです。
日々、新しい技術開発しているのは、「人の役に立つと信じている」から。

きちんと使われれば電力開発のクリーンエネルギーになるし、間違って使われると核兵器になると言う、原子力開発。それも技術の一面だと思うので、それをどう活用するかも考える必要がありますよね。

投稿: さじった | 2006.04.21 12:21

>ちゃいさん

私も,妹から話を聞いたときに「その医者も,いらんこと教えてくれたもんだよね」って言っちゃいました.『知らぬが仏』ってこういうときに使う言葉じゃないけど,でもそんな気持ちです.

この羊水検査って,いつの間に一般化したんだろう?私が子どもを産む頃は,技術はあったけど倫理的な問題であまり一般的でなかったような記憶がありますが.
でもこうして広まる技術であるということは,必要とされているということなんでしょう.複雑です.

技術と倫理は,切っても切り離せないものだと思います.


>さじったさん

私も技術の発展は人類を救うと信じてますよ.(大袈裟~)私も技術系の人間ですから.

でもテクニックに走ると心が置いていかれるという現象もあるなぁと感じます.技術を追求し始めると,その先を追い求める気持ちがどんどん膨らんで,行き過ぎることもあるんじゃないかな.クローンとかね.
技術者にはテクニックだけでなく,強い倫理観が必要だと思います.

原子力発電については,原爆のことより事故リスクを心配しています.原発と原爆は全くの別物ですから.

投稿: とと | 2006.04.21 22:31

「技術の進歩は人を幸せにするか」‥技術の恩恵を受けられる方々は幸せになれるかもしれません。

ただ、トラバした記事:『救急です、救急病院 』のように、

・常駐の外科医が確保できずに救急の外科手術等が困難になっている地域
・渡船で事前移動しておかないと出産管理が満足にできない離島

にとっては、先進の技術を有する医師として認定してもらう制度(専門医研修制度)は、あまりよろしくない副作用を生じているようです。

高度な技術を導入するには、機器も技術修得費(患者を相手にした場数を含む)もかさむようですし・・・田舎勤めでは、採算が合わないみたい。

* 先進校も田舎にゃ少ない westwind@周防国 *

[profile:Toto_200604201958]

投稿: westwind | 2006.04.22 15:03

>westwindさん

技術に限らず、地方と都市部の格差は広がる一方のような気がします。

でもマスコミの話はいつも東京発信で、ここで見てると実感が伴わないこと、多いです。
やっぱり数は力です。人数の多いほうが優先されるのはしょうがないということかな?

投稿: とと | 2006.04.22 19:29

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「SLやまぐち」号も停車する島根県鹿足郡津和野町にある、町唯一の救急病院:「津和野共存病院」が救急病院としての認定を取り下げる検討をしているとか。 取り下げ検討の理由は、今年4月から常勤の外科医がいなくなった為。 外科手術を要する救急患者が、非常勤しかいない外科医の勤務スケジュール通りに発生するわけじゃなし。後任の常勤... [続きを読む]

受信: 2006.04.22 14:44

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