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2006.03.21

半身浴読書~38~

023500430000 『疾走』 / 重松清,読了.

(ノ_-;)ハア….「重いよ,重すぎるよ,この本.」

この人の書く話って,いい人が出てこない.といっても悪い人ばかりが出てくるんじゃなくて,小説の中だけにしか存在しない『いい人』が現れないのだ.だから,重いんだ,多分.リアルすぎて.

この本は,壊れた家族の物語.シュウジの家族,エリの家族,そして神父の家族も.

なぜ壊れたか,どうしたら壊れないのか,この本からは何も見つけられない.ただ壊れたんだ.そして,結果がついてきた.その結果は酷いもので、シュウジの家族には、救いすら見つけられない。

話の中心はシュウジで、シュウジの家族だ。そのシュウジが未来に対して何の希望も持てなくなって、眼が穴ぼこのように暗くなって、結末に向かう話だ。

最後まで読んだ後、途中で、どうにかしてそれを止められなかったのかと考える

でもね、答えがないんだよ。例えば、シュウジが陸上部の顧問に大会に出ないかと誘われる。そのとき、素直に大会に出て走っていたら結末は変わってきたんじゃないか?例えば、シュウジがまだ小学生の頃、鬼ケンの車に乗ってアカネと3人で干拓地を車で走る。そのとき、シュウジがその車に乗らなかったら、結末は違っていたんじゃないか?

そんなこと考えても意味ないんだよね。突き放して言ってしまえば、この結末はもう、用意されていたものなのかもしれない。そんな気持ちになってしまった。

      

シュウジとエリには共通点があると思う.それは、母親への気持ちだ。

エリは、父親が母親を殴るときいつも母の胸に抱かれていた。それは一見、幼いわが子を守る母の健気な姿にも見えるけれど、エリはそう思っていない。母に抱かれていることで、殴られたときの振動や母の嗚咽や泣き声がダイレクトに体に伝わってくるのだと言う。

だから、母を殴りギャンブルに走って借金をした父親より、母親を憎んでいる

シュウジは、母を憎んだりしていない。同時に、父のことも兄のことも恨んでいない。

ただ、母がいつも兄を中心に考え、兄に期待をし、兄だけを見ている様子に,シュウジの心は傷ついている。本人でも気が付かないくらい,そっと傷ついている.シュウジは母を,ずっと求めていたに違いない.

私は,以前のエントリー『子育ての責任は母親が一手に引き受ける』で,母親だけが子育ての結果責任を問われることへの疑問を書いた.その気持ちは今も変わらないが,でも一方では,エリやシュウジの気持ちがわかる.

父ではなく,母を恨んだり,母を求めたりする気持ちが,なんとなくわかる.

それは論理とか理屈とか制度じゃなく,子どもが母親とへその緒でつながっているときからの延長なんだ.理屈じゃない子宮のつながり.父親とは違う,母親とのつながり.

         

それにしても,重松清氏の書く小説って性描写が独特.ものすごく詳細に書いてあるのに,性的な刺激が全くない.テレビで何度かお見かけしているけど,ギャップを感じてしまいます.

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コメント

お久し振りです。

いやぁ~、重い!
重過ぎましたよ、この作品は!
読んだ後、暫く何も出来ませんでしたもん。

私はあまり「母」との繋がりは考えて読んでませんでしたけど・・、
あ~、やっぱりお子さんが居るお母さんだなーと思いました。


それにしても、読書索引を作って頂いて助かりました。
本当に重松作品を沢山読んでらっしゃいますね!

投稿: サナダ | 2006.09.16 23:44

>サナダさん

読了,お疲れ様です.

重いですよね~.しかも,最後まで救いが見つからないの.作者的には最後のシーンが救いのつもりかもしれないけど,それはシュウジの救いじゃないし,シュウジの家族の救いじゃない.
結局,言葉は悪いけど捨石になる人生もあるということかな?

ところで読書索引,意外に使えるでしょ.(笑)
一番楽になったのは,実は管理人の私です.
ヾ(´▽`;)ゝウヘヘ

投稿: とと | 2006.09.17 14:43

ととさんとこでこの感想を見たときから「重松清」という人が気になっていて、まずは、短編集を図書館で借りられたので読んでみました。
(感想は拙ブログにあります)
この方の作品は・・・そうか。
家族がテーマなのか・・・大変興味深く面白く読みました。

「疾走」はまだ読んでいません。
実は今、同じタイトルの別の著者の本を借りてきてしまっていて(汗)
今、ここのあらすじ読んで、初めてそのことに気が付きました^^;;;;

投稿: BUBI | 2008.10.17 00:59

BUBIさん

>ととさんとこでこの感想を見たときから「重松清」という人が気になっていて、<

ありがとうございます.(*- -)(*_ _)ペコリ
こんな風に思ってくださると,すごく嬉しい!これが読書の輪♪ですね~(*^o^*)


そっかぁ~,重松さんのテーマは家族なんですね.そういわれればそうですね.恋愛でもサスペンスでも経済でも歴史でもなくて,家族や家族を含む人間関係がいつもテーマですね.(□。□-) フムフム


>実は今、同じタイトルの別の著者の本を借りてきてしまっていて<

あら(*^o^*)
まるでわたしみたいな勘違い.

でもその本も面白いかも知れませんよ.是非読んでみてくださいね.

投稿: とと(>BUBIさん) | 2008.10.18 22:31

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