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2006.01.03

半身浴読書~27~

『義経』 / 司馬遼太郎,読了.

歴史物は苦手だったのだが,『司馬版「義経」読了. / <徳間早苗の間>』を読んで,すごく興味をそそられ,手にした一冊.

歴史は,勉強にしろ小説にしろ歴史関連は全て苦手な私ですから,この本を手にしたこと自体びっくり!でももっと驚いたのは,非常に面白いと思いながら読み進めることができ,ちゃんと読了できたということ.

これは,昨年の大河ドラマが義経で,ときどき見逃しながらもストーリーを追っかけることができていたのが幸いしたと思います.なにせ,新しい登場人物が出てくるたび,ドラマの出演者の顔を思い浮かべてましたもん.(^。^;)

さて,ドラマの中の義経は,人間的魅力にあふれていてとってもいいヤツみたいだったけど,小説の中ではそうでもありません.好色で,甘ったれた政治音痴というキャラクターでした.

じゃ,なんでこれほどまでに義経は人気者で,後の世に語られる人物なのか.

ひとつには,義経はとにかく戦闘に強いということ.この本によると,義経のような近代的な戦法を取ったのは,この時代では他になく,桶狭間で信長が出てくるまでは,個対個の力勝負だったということだ.また,戦場での姿の凛々しさや決断の早さ,命令口調の指示,そのような戦場での義経の様子を読むと,こちらもぞくぞくと身震いするほどかっこいい.また,戦場での組織的な闘いだけじゃなく,堀川館で夜討ちをかけられたとき,ひとりで外に飛び出して果敢に戦い,勝ってしまうその強さも人気の原因だと思う.

そして,いよいよ義経が都落ちするとき,これまで平家や木曾義仲がしたように,法皇を連れ去ろうとしたり,都に火を放ったりしなかったことも,その後の都の人たちに好印象を残し続けた理由のひとつだ.

また,肉親の情愛に薄い環境で幼少時代を過し,その後,自分の力で戦いに勝利したにも拘わらず,兄から疎んじられ最終的には命を失った若者への憐憫もあるかな?

それにしても義経は,なんでこんなに政治音痴なのか?

それはやっぱり,兄の立場や坂東武士たちの置かれた環境を知らなかったこと,そして知ろうともしなかったことなんじゃないか

頼朝も義経もお互いに「なんでわかってくれないのか」と思っていただろうけど,相手にわかってもらうための努力をどこまでしたんだろうなぁ.

義経は,確かに兄の立場を考えてやらなかったし,それどころか自分と一緒に命をかけて闘った武将への配慮がことごとく足りなかったけど,頼朝だってもっと義経にわかりやすく自分の考えを語ってやればよかったのに.

今,世界で起きている紛争も,結局はこの時代の頼朝と義経みたいなものかもしれない.互いに求め合って,理解できなくて,不満をぶつけて,疑心暗鬼になって・・・.

それにしても頼朝の立場の不確かさは,ちょっと可哀相なくらいです.本の最後の方に出てくるのだけれど,頼朝は政子以外の女性との間に男の子が生まれ,本来なら嫡子となるべき子であるにも係わらず,政子(北条氏)を怖れて親子の名乗りをあげなかったというのです.

政子といえば,これはほんとに怖いおなごですよ.この本には,当時の男女のあり方がいろんなエピソードで描かれているけど,今みたいな貞節主義ではなかったみたいです.女は,希少価値の高い種を求めて美しさを競い,チャンスがあればその種を貰うために夜伽をする.そういうことが普通にあったみたい.そういう男女のつながりって感情が交叉しないぶん,あっさりとして気楽なものかもしれません.

でも政子は,男にも女にも貞節を求めた.それも厳しい態度で望んだようで,やはり歴史に名を残すおなごは,怖いもんだよなぁ~って思いました.

      

司馬遼太郎は,義経のことを好きだったのかな?

私はこの本で,義経が好きになりました.政治音痴で好色で感情が先走る人だけれど,戦闘のときの凛々しさはほんとに美しいし,人の情をひたすらに求める彼の心はすごくきれいだなって思うからです.

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コメント

 TBどうも有難うございました。私は永井路子氏の「北条政子」「炎環」など一連の鎌倉モノを読んだ事があって〝北条氏サイドから見た源平盛衰史〟は知っていたんですが源氏側から書かれたものを読んだのはあれが初めてでした。

 確かに実家の力を借りなければ鎌倉新体制を作る事が出来なかった頼朝の立場の不安定さは同情に値しますね。昔の人は自分の理解が及ばない者は即〝滅ぼす〟しか無かったんでしょうね。(あ、今も?)

 北条政子は結構分かり易いキャラで好きだったりします^^。怖いけどw。

投稿: tokkey_0524zet | 2006.01.04 07:41

>tokkey_0524zetさん

歴史物,たくさん読まれてますよね~.すごいなぁ.

今回,義経・頼朝の頃について読むことができたので,同時代の視点違いの本も読めるかもしれないですね.一度,ストーリーが入っているので・・・.
永井路子ですね.記憶しておきます.

司馬遼太郎の本は,家に「項羽と劉邦」があって,過去何回かチャレンジしたけど,読破できませんでした.ドラマを見てから再挑戦した方がいいかもしれないと,今回の『義経』を読んで,思いました.
かなり低レベル・・・・(-_-;)

投稿: とと | 2006.01.04 10:40

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 本年度NHK大河ドラマの主人公・滝沢タッキー義経は〝情愛の人〟と多少美化されているきらいがあるが、本書では彼の長所・短所がより露骨に端的に描かれていてまさに「司馬史観・義経」。  決して〝いい子ちゃん〟ではなく実に人間臭いんである。  作中の義経は「大人とは思えぬほどに甘ったれで、天才といっていいほどの政治的痴呆者で、物事に軽率で自尊心、名誉欲が強くて(名誉欲が強いのはこの時代の武士の一般的風潮だが)どうしようもなく好色で情緒的」、それでいて「戦術的判断は極めて冷徹で正確」。  ... [続きを読む]

受信: 2006.01.04 19:09

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