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2005.09.28

半身浴読書~20~

025785210000 『戦争をやめさせ環境破壊をくいとめる新しい社会の作り方』 / 田中優,読了.

このところ,ノンフィクションから遠ざかっていたけど,久しぶりに新刊を見つけたので読んでみました.

第一の感想は,『やっぱり行動することはすごいことだなぁ~』と改めて思ったこと.アイディアを実行していく過程で挫折することはすごく多いと思うのだけど,筆者はひとつひとつ行動し,実現させています.その気合が素晴らしい.

私は,行動する人にどうも弱いのであります.

この本には,アメリカの戦争を日本が支えている現実についても書いてあります.それは日本がアメリカの国債を買って,それが戦争の資金になっているということ.そのアメリカの国債を買うお金は,結局は私たち国民の貯金であったりするわけで,国民ひとりひとりが戦争に使われないお金の使い方は出来ないものかと考えて,提案しています.

環境についても,さまざまな資料をもとに書かれています.目標は脱原発・脱石油です.徹底した省エネの後,バイオマスなどの再生可能なエネルギーで,私たちの生活を支えることです.

いろいろな例を挙げて説明してあるのですが,それが本当に実現できることなのか,あまりにも化石燃料に慣れすぎてしまっているので,夢物語のような気がしていました.

そしたら,kochikikaさんのところで『デンマークとキューバのエコ話など』のエントリーがぁ~!バイオマスを利用したエネルギーについて,取り組みは進んでいるのですね.自分の中で,ジャストタイミングでびっくりしています.

そして筆者らが考えたのが,未来バンクです.そして,実現させました.

設立した1994年には,NPO法はなかったため組合契約とし,出資した組合員からの資金を,組合員だけに融資する互助的団体として始まりました.

(前略)

融資は出資金の10倍まで,一時的な「つなぎ融資」の場合には100倍までとする.融資の順番は理事会で決めることとし,理事メンバーは総会での承認を受けることとした.議決権は出資額1円1票とし,出資リスクに合わせた投票権とすることとした.

組合員には出資しても戻らないリスクがあることを明瞭に表示し,その人の持っている資産額の1割以上は出資してもらわないでもらいたい旨を説明した.配当はほとんど困難であることを明示し(その後総会で,配当できる資金ができる状況になりそうだったら,金利を下げていくことを決議している),出資した見返りは環境や福祉・市民事業の進展以外にないことを説明した.

(後略)

初めは,エコ住宅への補助金が支給されるまでのつなぎ融資などが多かったらしいけど,今では,アトピーで苦しんだ息子を持つおかあさんの天然酵母パンの店を出したいという案件への融資や,自然エネルギーの実験プラントや福祉事業へも融資も行っているらしい.

この組合は出資者への配当はほとんどないのだから,結局利子分を環境事業へ寄付しているということだよね.

私は,単にお金をあげる寄付よりも,頑張ってる人に効率的に手が届くような寄付が好ましいと思ってる.この方法は,ずばりそれなんだと感じました.

でもね,ひとつ疑問もある.それは原発に関しての記述で,『原発から毎日放出する微量の放射能の問題がある』と書いてあるところ.

これは本当に?本当に放射能が漏れてる?放射線でなく放射能が?

放射線と放射能と放射性同位体が,ごちゃごちゃに書かれている印象を持ちました.

こうやってひとつ変だなぁ~と思うと,あれこれ疑問に思えてくるので,この本に書かれていることをそのまま鵜呑みにはしたくない.でも,その部分を差し引いても,『環境保全』『戦争反対』を唱えるだけでなく,行動に移して実現に持っていくパワーには,頭が下がります.

そういえば,未来バンクに似た銀行は各地に作られているようで,なかでも「ap bank」はミスチルの櫻井さんや音楽プロデューサーの小林さんや,教授(坂本龍一さんのことね)らが私財を提供して作ったものだそうだ.有名人も行動しているんだね.

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コメント

引用ありがとうございました。
個人的には環境問題が、市場原理主義、マネー経済への歯止めになればいいかなと思っております。
一方、気をつけなければならないのは、変なイデオロギーとくっついて捕鯨の話みたくなっちゃうことですね。
あくまでも科学的に。そっちの方面、弱いですけど。

投稿: kochikika | 2005.09.29 01:15

>kochikikaさん

環境問題は,地球温暖化のみならず,結局はエネルギーの問題で,それは地球の資源の奪い合いを止めることにもなるし,正面から取り組んでいかなければいけない問題ですね.

>変なイデオロギーとくっついて捕鯨の話みたくなっちゃうことですね。
↑えっ?捕鯨の問題ってイデオロギーの問題だったの?単なる,捕鯨国いじめだと思ってました.(^^;)

投稿: とと | 2005.09.29 19:51

TBありがとうございました。

バイオマスなどの再生可能なエネルギーは日本だと地方で細々と試みている人たちがけっこういるなー、という程度で大きなエネルギー源になるのは未来の話のように思えます。でも、スウェーデン、デンマークでは2002年ですでに一次エネルギー供給の1割以上を占めています。
原子力ではなくバイオマスで発電するなら過疎地にカネとひきかえに危険を押し付けることもなく、都市部にも設置できます。

投稿: びんごばんご | 2005.10.01 00:05

>びんごばんごさん

こんにちは.

日本の技術革新は,エネルギーや省エネの研究からだと思ってます.アメリカと違って軍事研究所に大々的にお金を注ぎ込むことはできないですし.そう考えると,原子力だけに軸足をおかず,先の先を見たバイオマスの研究は絶対に必要で,遅れをとるわけにはいかないだろうと思います.

>原子力ではなくバイオマスで発電するなら過疎地にカネとひきかえに危険を押し付けることもなく、都市部にも設置できます。
↑ほんとに,同感です.

私ももうちょっと興味を持って,エネルギーのこと見ておかなきゃいけないなと思ってます.

投稿: とと | 2005.10.01 09:57

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